当院のレーザー治療
当院では炭酸ガスレーザー装置を導入し、様々な分野に応用し、治療を行なっています。
レーザーにより治療できる疾患
- 子宮頸部異形成
- 尖圭コンジローマ
- バルトリン腺嚢胞
- 皮膚のイボ
- 尿もれ、性交痛、腟の不快な症状
- 外陰の違和感、外陰痛
- 妊娠線や皮膚のストレッチマーク
1から4はレーザーの切開や蒸散モードを使って行います。簡単に言うと切ったり、焼いたりする方法です。5と6は皮膚のリフトアップや若返りに用いる炭酸ガスフラクショナルレーザーという方法を用います。
レーザー蒸散手術
レーザー治療の実績
まず、当院で行なっている子宮頸部異形成(CIN)に対するレーザー蒸散術についてお示しします。子宮頸部異形成(CIN)に対するレーザー蒸散術は2016年に前任のNTT東日本札幌病院で開始して以来、1,000件以上の症例を積み重ねております。当院を開業してからも毎年140件を超える手術件数となっています。
治療成績に関しては、これまで多くの学会で発表し、論文にもまとめています。
Mariya T, Nishikawa A et al. Virological and cytological clearance in laser vaporization and conization for cervical intra‐epithelial neoplasia grade 3. Journal of Obstetrics and Gynaecology Research 2016;42:1808‐13.
これまでの知見をまとめますと、(1)妊娠への影響はない、(2)適応を守ればCIN3でも円錐切除と同等の治療成績である、ということなどが明らかになりました。
2020年に日本ルミナス社製のAcuPulse®を導入し、コルポスコピーガイドで病巣を直接確認しながら蒸散できるようになり、レーザーが届きにくい病巣、あるいは、小さい周辺の病巣も見落とすことなく蒸散できるようになりました。日帰りの手術でおこなっております。
1回の照射で治りにくい症例に関しても検討し2021年日本婦人科腫瘍学会総会のセミナーで発表しました。1回の照射で治癒しなかった場合は、再度、蒸散、あるいは円錐切除を行うことで治療しています。
日本ルミナス社製AcuPulse
炭酸ガスフラクショナルレーザー「フェムタッチ」
炭酸ガスフラクショナルレーザーは短時間に多数の浅い穴を組織に開けることで、組織を刺激し、粘膜・皮膚の線維芽細胞を活性化して新たなコラーゲン生成を促します。
その結果として、薄くなって弾力を失った粘膜や皮膚がふっくらと厚みを増し、潤いを取り戻します。
深さ1mmまでレーザーで穴を開けます
短時間の照射時間で多数の穴を皮膚に開けます
照射時間が短いために過剰な熱がかからないため、ダウンタイム(手術後の腫れ・内出血・しびれなどの症状が収まるまでの時間)が短く通常の生活が可能です。
皮膚の妊娠線・ストレッチマークにレーザーを照射した直後の写真
FemTouch™(フェムタッチ)は膣萎縮による症状を緩和するために開発された新しいレーザー治療です。炭酸ガスフラクショナルレーザーという技術を応用しています。微小な点状に炭酸ガスレーザーを照射することにより表皮を蒸散し、その周りに発生する熱エネルギーが真皮深層まで熱変性させることでコラーゲン組織を収縮、その変性したコラーゲンが創傷治癒の過程で再生し、皮膚のリモデリングを促すことにより、膣組織の再生(rejuvenation:若返り)に導くものです。
こんな症状に有効
- 膣や外陰部の乾燥が気になる
- においが気になる
- 外陰部にかゆみや灼熱感を感じる
- 性交痛がつらい
- 排尿障害・尿もれを改善したい
- 腟のゆるみ
- 乳がん既往で膣萎縮症状があるが、ホルモン療法ができない若年層の方
フェムタッチの実際
膣内は痛みを感じないので麻酔は必要ありませんが、外陰部に照射する場合はあらかじめ30分前に麻酔クリームを外用します。
膣内や外陰部に炭酸ガスガスフラクショナルレーザーを数分照射します。(痛みや出血はほとんどありませんが、まれに軽微な下腹部痛や微量の出血などが起こることがあります。)
施術後も特別なケアは必要ありませんので、施術後すぐに帰宅できます。
施術後3日間の性交を避けていただくこと以外は特別の注意事項はありません。
料金(税別)
膣内/1回:40,000円(約1か月ごとに3回行います)
外陰部/1回:25,000円(約1か月ごとに症状に応じて繰り返します)
保険適応外となります