子宮筋腫は女性の3人に一人が持っていると言われるくらい身近な病気です。今日は子宮筋腫についての講演のため、新しくスライドを作って準備していますので、その一部を紹介します。
子宮筋腫の症状は、生理の量が多い事(過多月経)や筋腫が大きくなることによる圧迫症状がメインです。生理の出血がひどく、貧血が重症化し緊急手術が必要になることもあります。
子宮筋腫を完治させるには、手術が必要ですが、なるべく何度も手術を受ける事がないように、ライフステージを考えて治療することが大切です。今回は、手術の話は置いておいて、薬による治療について目的に応じた分類を考えてみました。
(目的1:手術をしないで済むように。)なるべく症状を抑えて生活できるよう、薬により長期間症状の緩和を目指します。具体的には、鉄剤や鎮痛剤などの対症療法、低容量ピルなどが挙げられます。
(目的2:手術前の準備のため。)腹腔鏡手術の前には、筋腫をなるべく小さくすることで、手術時間、出血量などを少なくできます。このためには、偽閉経療法といって、月経を止める治療を行います。
(目的3:急場しのぎでなんとかしよう。)貧血がひどくて、日常生活がままならない。月経の出血が止まらない。など、緊急を要する事態になることもあります。こうした場合は従来、偽閉経療法で用いる薬やホルモンによる止血剤を使用してきました。偽閉経療法で用いる薬は、使用後、一度月経が来てしまうので心配です。ホルモンによる止血では血栓のリスクがあり心配があります。最近、認可された薬は、そのような心配がなく有効かもしれません。
今回は、子宮筋腫の治療で使う薬を目的により分類するつもりで記事を書きました。子宮筋腫は、大きさ、数、部位も千差万別ですが、患者さんの状況(ライフステージ)も一人一人異なっています。どんな治療が良いかは、主治医とよく相談することが大切です。