閉経後にデリケートゾーンのかゆみ、尿もれ、頻尿、性交痛などがあれば、GSM(閉経後性器尿路症候群)かもしれません。GSMは閉経後の女性の28~84%に影響をあたえています。しかしながら、現状ではこの状態は過小評価され、適切な治療をされていないことが多いです。もっとも多い症状は、膣や外陰の不快感、膣の乾燥、灼熱感、性交痛、排尿痛、帯下(おりもの)などがあります。この状態は進行性で治療なしには改善しません。治療法としては、ホルモン補充療法が有効ですが、その適応は、患者さんの状態によって考慮しなければならない点があります。膣に投与する、女性ホルモン製剤は全身への影響が少なく、治療効果が高いですが、ご自身で膣に投与することが難しいと感じる方もいます。また、乳がんの治療後などで、女性ホルモン製剤を使用することができない方には適応になりません。外国で認可されている新しい製剤もありますが、日本では承認されていません。処方薬ではありませんが、膣クリームや潤滑剤などは症状の緩和に役立つこともわかっています。最近、膣へのレーザー照射がGSMに有効であるという報告が多数なされるようになりました。これは膣へのお薬の挿入が困難な患者さんや、乳がんの術後の患者さんにはとても期待ができる治療法と考えます。
GSM(閉経関連泌尿生殖器症候群)とは
2021.01.03 UP